2023-01-01から1年間の記事一覧
そして、こちらで今年のベスト本約10冊をまとめようと思います。 正直言って難しいですが10冊に絞ります。 泣く泣く削ったバート・ホールの火器の誕生の本とか、ローラン・ビネやキム・イファン、ニー・ヴォ、マギー・オファーレルの小説、諫早先生の馬の本…
下半期は正直なところ、あまりまともに読めなかった時があったりします。 でもある程度は読んだのでそこから下半期のベストをまず選びます。 2023年のベストはもうそろそろだします。 そして、アップしてから気がつきましたが、2冊既に上半期でアップした物…
アジア人物史6巻は、モンゴル帝国によるユーラシア統合が終わりを迎えた後、ユーラシア各地でみられた国家の形成、宗教の伝播、交易ネットワークの展開を扱います。かつてモンゴル帝国が存在した世界で海と陸のネットワークが結びつきました。そのつながりは…
(読了は11月30日) 岩波講座世界歴史の新シリーズがで始めたのが2年前のこと、そこからコンスタントに刊行が進み、全24巻がこの度出揃いました。実のところ最初に出た第1巻が目次みた時点で興味が湧いて来ず(今も無い)、このシリーズはどうしたものかと迷…
12月になりました。今年も後少しで終わりです。年末には下半期ベスト、そして年間ベストを選ぼうと思いますがはたしてどうなるか。 それはさておき12月はこのようなほんをよんでいます。 五十嵐ジャンヌ「洞窟壁画考」青土社:読了 塩野七生「ギリシア人の物…
ハプスブルク君主国のマリア・テレジアというと世界史では18世紀中欧・東欧の歴史を語る際に欠かせない人物です。しかし、彼女の治世は単純化して示せる何かわかりやすい特徴があるかというとそういうものではないようです。改革を進める一方で保守的なとこ…
集英社のアジア人物史シリーズも残すところは少なくなってきました。第5巻では前近代ユーラシア史のハイライトといってもよい、モンゴル帝国の時代が描かれます。チンギス・カンによるモンゴル帝国樹立、そしてその後のモンゴル帝国の拡大過程、クビライの業…
”かつて、1950年代から70年代のアメリカにジュリアン・バトラーと言う作家がいた。同性どうしの性行為や同性愛が処罰の対象となる時代において、男性同士の愛を描いた作品を発表した。女装を好み、過激な発言を繰り返し、カルト的な人気を得た。” しかし、こ…
11月になりました。先月は正直まともに読めず感想もとくに書こうという意欲も湧かず(いや、面白いと思ったんですがね、自分で感想書かなくてもいいかなとふと思ったので。どちらも手に取りやすいし)。 今月は先月末に入手した本をまず読んでからかな。とい…
10月はこのような本を読んでいます。 先月読んでまだ感想を書けていない本が実はありますが、それについてはどうするか検討中です、とかいたものの、結局書く気力も出ず。また10月に読んだ本は特に感想は書かなくていいかとおもいました。別に自分が書かなく…
様々な史料を読み解き、それをもとに歴史を書くというのが歴史の研究・記述において行われていることですが、その史料が果たしてどこまで同時代の認識を反映しているのかというのは常に気になるところです。同時代史料であっても、それがごく一部の変わり者…
中央公論新社で中国の各王朝ごとの巻が結構出ています。今年の春には「唐」がでて、東部ユーラシアの帝国としての唐の歴史をまとめており非常に面白く,此方にも感想を書いています。そして、今回は唐の前の隋で一冊の本が出ました。隋のような短命な王朝で1…
人物を通じてアジアの歴史を見る「アジア人物史」シリーズの第3巻が出ました。刊行ペースが少しゆっくりに成、2ヶ月に1冊くらいのペースになってきています(予定通りのようですが)。この巻では6世紀から11世紀頃というはばで、唐とイスラム帝国が栄えた時…
SNSの発達によりいろいろな人が言いたいことを言いやすい環境ができあがっていくなか、世間で言われていることとはちょっと違うことをいうと人目を引きやすいことは多いようです。とくに「〜の真実」「本当の〜」等と銘打って本を出すと、それを見てその通り…
もう秋になりました。読書の秋とは言いますが忙しいとなかなか進みませんね。 9月はこんな本を読んでいます。なお8月に読んで感想を書ききれずたまっているため、それを書いた後で9月の本については感想を書くかなと。 石田真衣「民衆たちの嘆願」大阪大…
オットー大帝(オットー1世)というと、世界史では神聖ローマ帝国の初代皇帝と言うことでその名が出てくる人物です。レヒフェルトの戦いでマジャール人(なお、本書では自称であるマジャール人ではなく史料の記述に従いハンガリー人として表記しています)を…
山川出版社から刊行されてきた「歴史の転換期」シリーズもついに完結の時を迎えました。扱われるのは1348年、中世ヨーロッパで黒死病(ペスト)の大流行を迎えた時代であり、そのほかの地域でも疫病や気候不順、相次ぐ戦乱が見られた時期でした。いっぽう、…
8月になりました。暑い日々が続く中で読書が進むのかどうかはわかりませんが、こんな感じで読んでいます。 姜尚中(総監修)「アジア人物史3 ユーラシア東西ふたつの帝国」集英社:読了 小野寺拓也・田野大輔「検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?」岩波…
世界史リブレット人の新刊は後漢の建国者、光武帝こと劉秀をあつかいます。日本史,中学歴史で奴国の使者がやってきたときに「漢委奴国王」印を授けた皇帝として光武帝(劉秀)は登場するので,どこかで名前は聞いた、習ったという人がほとんどのはずです。…
物語の出だしは1561年、主人公であるルクレツィアが死んだ年、人里離れたところにある砦を舞台に夫と二人きりの食卓で彼女は夫に殺されることを予感しながら卓についているところから始まります。その後、過去の話と砦での様子が交互に入れ替わるように展開…
アジアの古代、中世の歴史を見ると、外戚が台頭する時代や武人の台頭が見られる時期が見られます。日本史では摂関政治や院政期の武士の台頭と平氏政権、鎌倉幕府の登場と言う具合で現れてきます。またこの時期は文化的に東部ユーラシアでは独自の文字を発展…
アジア人物史の11巻は20世紀、世界戦争に関わる時代に生きた人々を扱いつつ歴史を描こうとしていきます。内容構成を見ると20世紀前半、第2次世界大戦前の時代が中心となる人物と、第2次世界大戦後の世界での活動が中心となる人が色々と混ざっています。また…
「スチームパンク」というと、内燃機関が存在せず蒸気機関により様々なものが動く世界を舞台に展開されるSFのジャンルということで理解していいのかと思います。イギリスのヴィクトリア朝なんかがよく出てくるところでしょうか。しかし本書では蒸気機関に…
ヨーロッパの歴史を見ていくと、中世末期に火器が使われるようになり騎士の没落が進んだといった記述が教科書などでみられましたし、今でもそのようなイメージが強いと思われます。火器の使用は14世紀初めには実現していますが、いきなりそれによって火器が…
7月になりました。 感想をため込んでいるものをアップしてから7月に読んだ本の感想は書くことになります。 結構ためているのでいつになるやら。 永田雄三「トルコの歴史(上)」刀水書房:読了 マギー・オファレル「ルクレツィアの肖像」新潮社:読了 姜尚中…
2023年も半分が終わりますが、ここまでのベストを掲載します。なおここに掲載した本のなかで、2冊ほど感想がないものがありますが、感想は書き上がり次第7月にアップします。 今回は12冊です。 バート・S・ホール「火器の誕生とヨーロッパの戦争」平凡社(…
前近代世界のユーラシアの歴史を考えるとき、馬及び騎馬遊牧民の存在が重要であると言うことはつとに指摘されてきています。騎馬遊牧民の国家が広大な領域を支配し、交易を活発化させたり、農耕民の世界との間で様々な交渉がみられたことも世界史でよく触れ…
アジア人物史10巻は19世紀から20世紀、帝国主義の時代にアジアの人々がいかに対応していったのかを,非常に広い範囲の人物を取り上げながら描いていきます。扱われる人物の幅の広さは他の巻と同様に非常に広く、政治に関係した人物だけでなく、思想・文化に…
6月になりました。思ったほど本を読めなかった5月からどう変わるか。 こんな感じで本を読んでいます。 イ・ソヨンほか「蒸気駆動の男」早川書房:読了 姜尚中(総監修)「アジア人物史4」集英社:読了 バート・S・ホール「火器の誕生とヨーロッパの戦争」…
20世紀末から21世紀の日本でアレクサンドロス研究を担ってきた森谷先生は最近大王に関する史料の邦訳をまとめて単行本に出したり、東征路の実地検分を元にイランでの遠征路などを復元しようとするなど、様々な活動を展開しています。そうした活動の一つとし…