まずはこの辺は読んでみよう

しがない読書感想ブログです。teacupが終了したため移転することと相成りました。

2024-01-01から1年間の記事一覧

小林亮介「近代チベット政治外交史」名古屋大学出版会

チベットというと、かつてこの地を支配したダライ=ラマの政権は国外に亡命し、中華人民共和国の自治区であるが、仏教の活仏の選定にも中国政府の影響がおよぶなど、中国の領土の一部」としての支配強化が長年にわたり着々と進められている状況です。共産党…

4月の読書

4月になりました。今月は色々と欲しい本が出ます。アジア人物史の12巻、そして選書メチエから出始める地中海世界の歴史2冊(オリエントで2冊)、そのほかにも色々と。 その前に読んでおきたいものもあります。 マシュー・スチュワート「マネジメント神話」明…

馬伯庸(齊藤正高・泊功訳)「両京十五日 Ⅱ 天命」早川書房

北京から南京への遷都のため送られてきた皇太子が命を狙われ、さらに北京の皇帝も危ない状態になるなか、皇太子が北京を目指す「両京十五日」、1巻が非常に面白く次を楽しみにしていました。それが無事刊行され、早速読みました。この巻では、皇位をめぐる明…

渡辺信一郎「増補 天空の玉座 中国古代帝国の朝政と儀礼」法藏館(法蔵館文庫)

中国というと皇帝による専制国家、という理解は多くの人にも広まっているものだと思います。しかし、専制政治をいかにして成り立たせるのか、そのしくみについてまではあまり深く考えていない、単に皇帝が独裁的に好き勝手に決めているという程度の理解の人…

姜尚中(総監修)「アジア人物史9 激動の国家建設」集英社

アジア人物史も残すところわずか、今回の9巻は近代国家建設や民族運動に関連する項目が多くなっています。最初に「東学」を生み出した崔済愚と高宗をとりあげたあと、様々な地域を見ていくという感じです。 内容を見ると、パン=イスラム主義で有名なアフガ…

3月の読書

3月になりました。3月は次のような本を読んでいます 山内進「掠奪の法観念史」東京大学出版会:読了 馬伯庸(齊藤正高・泊功訳)「両京十五日 Ⅱ 天明」早川書房:読了 渡辺信一郎「増補版 天空の玉座」法蔵館(法蔵館文庫):読了 姜尚中(総監修)「アジア…

馬伯庸(齊藤正高・泊功訳)「両京十五日 Ⅰ 凶兆」早川書房

時は明朝、4代目皇帝の治世、皇太子朱瞻基(のちの宣徳帝)が南京へと派遣されてきました。皇帝の意図は永楽帝が北京に移した都をまた南京に戻そうというものであり、そのために朱瞻基が派遣されてきます。しかし南京に到着したとき、彼を乗せた宝船が爆破さ…

ジェイムズ・ポスケット(水谷淳訳)「科学文明の起源」東洋経済新報

科学の歴史というと、前近代には中国など非ヨーロッパ圏での成果が多く取り上げられますが、ある時期からヨーロッパ中心になっていきます。特に近代科学ともなると、「科学革命」あたりからはもっぱらヨーロッパ(そしてアメリカ)の話題が中心となっていき…

堀地明「清代北京の首都社会 食糧・火災・治安」九州大学出版会

清朝の首都北京、そこは皇帝や王族、官僚、八旗の構成員だけでなく多くの人が暮らす大都市です。そんな大都市でどのようにして人々に食糧を安定供給していたのか。また、洪水などの災害や都市では避けられない火災、そして犯罪の発生といった問題もあるわけ…

2月の読書

2月になりました。 今月はこんな感じの本を読んでいます。先月からちまちま読んでいる洋書はまだ読み終わる気配なしですが。 アヴラム・デヴィッドソン「エステルハージ博士の事件簿」河出書房新社(河出文庫):読了 小野昭「ドナウの考古学」吉川弘文館:…

山舩晃太郎「沈没船博士、海の底で歴史の謎を追う」新潮社(新潮文庫)

日本史でも元寇の沈没船が発見されたことが過去ニュースにも取り上げられていましたが、海に沈む沈没船から様々なものが発見され、それによって歴史の一端が明らかになることがあります。地中海の古代ギリシアの沈没船から見つかったアンフォラが当時の経済…

シオドラ・ゴス(鈴木潤訳)「メアリ・ジキルと囚われのシャーロック・ホームズ」早川書房

ジキルとハイドの話やフランケンシュタインなど様々な物語に登場するマッドサイエンティストたち、その娘たちがクラブを結成し謎を解き明かす、「アテナ・クラブ」シリーズの完結編がでました。前作でシャーロック・ホームズが失踪、さらに終盤にはメアリの…

1月の読書

明けましておめでとうございます。 1月はこのような本を読んでいます(洋書はそんな早く読めないので、今月読み終わるとは思えないですが)。昔読んだ本が文庫化され、それを改めて読んだものもあります(それにしても、なぜよその出版社で文庫になったのか…