まずはこの辺は読んでみよう

しがない読書感想ブログです。teacupが終了したため移転することと相成りました。

2011-01-01から1年間の記事一覧

今年のベスト

今年も色々な本を読みましたが、そのなかで、あれは面白かったとかこれは良かったとか、この時期になって思いだした物をリストにしてみました。早くに思い だした物から書いていますので、別に順番というわけではないです。ただ、早く思い出したと言うことは…

マーク・シャッカー(野口深雪訳)「ステーキ! 世界一の牛肉を探す旅」中央公論新社

ステーキというと、何か特別な食べ物のような響きがあります。とくにビーフステーキ何て言うと、そうそう頻繁には食べさせてもらえない、ごちそうというイ メージが強いのではないでしょうか。本書は、父親が定期的にステーキを焼いてくれる家でそだった著者…

ジョー・マーチャント(木村博江)「アンティキテラ 古代ギリシアのコンピュータ」文春文庫

20世紀初め、ギリシアの海底で沈没船が発見され、そこから色々な物が集められました。彫刻とかブロンズ像が引き上げられる中、小さい木箱が発見され、そのなかには一体何につかったのか判別が付かない機械仕掛けがつまっていました。 本書は、この時に見つか…

12月の読書

今年も残すところあとわずか。果たしてどんな本が読めるのか。 塩野七生「十字軍物語3」新潮社:読了 マーク・シャッカー「ステーキ! 世界一の牛肉を探す旅」中央公論新社:読了 元木泰雄「平清盛の闘い」角川書店(角川ソフィア文庫):読了 ジョー・マー…

岩明均「ヒストリエ」第7巻、講談社

アレクサンドロス大王の書記官をつとめたエウメネスを主人公とした岩明均「ヒストリエ」、昨年は文化庁メディア芸術祭の漫画部門で大賞を受賞している作品です。単行本では、6巻がでてから1年半、の7巻がでました。 今回は、大体このような内容が含まれてい…

原随園「アレクサンドロス大王の父」新潮社(新潮選書)

アレクサンドロス大王の父親にして、エーゲ海北岸の弱小国家だったマケドニア王国をギリシアの覇権国家へと発展させたフィリッポス2世の評伝です。実は、 別の本(デモステネス「弁論集1」)の解説において、この本についてフィリッポスを礼賛している本で…

11月の読書

11月はこのような本を読んでいます。 カントーロヴィチが全く進まない…。他にも色々手を出しているからかな。まあいいか。 マクニール「世界史」(上)中央公論新社(中公文庫):読了 岩明均「ヒストリエ」(7巻)講談社:読了 羽田正「新しい世界史へ」岩…

カルロス・バルマセーダ(柳原孝敦訳)「ブエノスアイレス食堂」白水社

人間が生きるうえで、食べることは欠かすことのできない行為です。しかし、単に栄養を補給するというだけでなく、より美味しい食を追求しようとする執念 が、様々な食材の採用、料理技法の開発、そして饗し方の工夫などをもたらしてきました。そして食にかん…

10月の読書

10月はこのような感じで本を読んでいます。 図書館からかりたカントーロヴィチに手こずっています。読めど読めど終わりが見えないのはまあいいのですが、簡単に持ち運んで読めるようなものではないので…。 ふと気がついたのですが、バルマセーダの名前と、…

本村凌二(編著)「ラテン語碑文で楽しむ古代ローマ」研究社

古代ローマ史、古代地中海世界史を研究する上で、彼らが残した碑文はひじょうに重要な史料となっています。現在発見されている碑文は彼らが残した物のごく 一部にすぎないようですが、現在もなお発見が続く様々な碑文を解読していくことにより、新たな知見が…

ウラジーミル・ナボコフ「カメラ・オブスクーラ」光文社(古典新訳文庫)

裕福でお人好しな美術評論家クレッチマー。彼は何不自由ない暮らしを送っていましたが、映画館のくらやみの中でふと目にとまった16歳の少女マグダに惚れ てしまいます。一方マグダはかなり劣悪な家庭環境で育ち、映画女優への道を目指しながら、映画館の案内…

クリストファー・プリースト(古沢嘉通訳)「双生児」早川書房

(注意)今回は内容に色々と触れるところが多いです。ネタバレをいやがる方は見ないで下さい。 歴史ノンフィクション作家スチュアート・グラットンのサイン会に、アンジェラ・チッパートンという女性がある回想録を携えてやってきます。それは第二次世 界大…

9月の読書

今年も残り4ヶ月、さてこれから何を読もう。あ、そういえば中央公論新社からカントーロヴィチ「皇帝フリードリヒ2世」がでるそうですよ。 元木泰雄「河内源氏」中央公論新社(中公新書):読了 本村凌二(編著)「ラテン語碑文で楽しむ古代ローマ史」研究社…

イアン・マキューアン(村松潔訳)「ソーラー」新潮社

ノーベル賞受賞科学者ビアード、彼はちび・でぶ・はげの三拍子がそろった女好きな物理学者です。妻がいながら愛人を作り(相手の女性はどうも絶世の美女タ イプではなく、一寸個性的な方が多いような気がする)、科学的・合理的思考を最善の物と信じ(本書の…

ポール・カートリッジ(橋場弦監修・新井雅代訳)「古代ギリシア 11の都市が語る歴史」白水社

古代ギリシア史に関する入門書や概説書は世の中に結構あります。オーソドックスなものですと時代の流れに沿って出来事を並べ、その中で色々なテーマを取り扱うという形で書いていく感じになると思います(各社の「世界の歴史」シリーズはそのような感じです…

土口史記「先秦時代の領域支配」京都大学学術出版会

(本当は7月に読み終わっていたのですが、感想を書き上げるのが遅れたので、8月分に掲載することにします。) 中国史をならうと、郡県制と言う言葉が出てきます。秦漢帝国の時代から使われ、その後の中国の統治にも引き継がれるような仕組みですが、それがい…

8月の読書

8月に入りましたね。8月はこのような感じで本を読んでいます。 あと、7月に感想を書こうと思っていたものの、諸般の事情により8月に感想を書いてアップする本が1冊あります。 イアン・マキューアン「ソーラー」新潮社:読了 下田淳「居酒屋の世界史」講談社…

ロビン・オズボン(佐藤昇訳)「ギリシアの古代 歴史はどのように創られるか?」刀水書房

本書はケンブリッジ大学で行われた講義をもとにした、古代ギリシア史の入門書です。しかし、この本はミノア文明からヘレニズム時代までをつらつらと書いたギリシア史の概説書をイメージして読み始めると、全く違う内容で少し驚く人もいるかもしれません。 1…

7月の読書

すでに今年も後半に突入しましたが、7月はこのような形で本を読んでいます。 しかし、感想を書こうと思ったら7月が終わってしまった本があり、それについては8月に改めて書くことにします。 土口史記「先秦時代の領域支配」京都大学学術出版会:読了 ヒラリ…

サマセット・モーム(天野隆司訳)「昔も今も」筑摩書房(ちくま文庫)

時代はちょうどイタリア統一にむけて突っ走るチェーザレ・ボルジアがいた頃のこと、各地を制圧していくチェーザレのもとに、フィレンツェからマキャヴェリ が派遣されてきます。フィレンツェ政府がマキャヴェリを派遣したのは、フィレンツェをチェーザレの手…

6月の読書

6月はこんな感じで本を読んでいます。 イタロ・カルヴィーノ「アメリカ講義」岩波書店(岩波文庫):読了 ピーター・サルウェイ「オックスフォード ブリテン諸島の歴史1」慶應義塾大学出版会:読了 菊池良生「哀しいドイツ歴史物語」筑摩書房(ちくま文庫)…

久芳崇「東アジアの兵器革命 十六世紀中国に渡った日本の鉄砲」吉川弘文館

16世紀、戦国時代の日本に入ってきた鉄砲は瞬く間に広がりました。そして日本の火縄銃と射撃法(輪番射撃)は文禄・慶長の役において明軍と朝鮮軍に大きな刺激を与えることになり、17世紀の中国の軍事書にはこれらについての記述を残しています。 本書では、…

5月の読書

新緑のまぶしい季節になりました。今月はこんな感じで本を読んでいます。 森平雅彦「モンゴル帝国の覇権と朝鮮戦争」山川出版社:読了 太田敬子「十字軍と地中海世界」山川出版社:読了 久芳崇「東アジアの兵器革命」吉川弘文館:読了 飯塚浩二「東洋史と西…

ミハイル・ブルガーコフ「悪魔物語 運命の卵」岩波書店(岩波文庫)

「巨匠とマルガリータ」のブルガーコフの中編2つですが、どちらもふとした偶然がきっかけで、それまでの生活が一変していく過程を書いているというところは似ているなと思います。 「悪魔物語」は、主人公がクビになった後、色々なところをたらい回しにされ…

4月の読書

4月に入ってから、こんな感じの物を読んでいます。 サーシャ・スタニシチ「兵士はどうやってグラモフォンを修理するか」白水社:読了 ギー・ド・モーパッサン「女の一生」光文社(古典新訳文庫):読了 オラフ・オラフソン「ヴァレンタインズ」白水社:読了 …

笹本正治「武田勝頼 日本にかくれなき弓取」ミネルヴァ書房

武田勝頼というと、信玄亡き後の武田氏をつぶした張本人ということでかなり低く評価されている人物です。猪突猛進型の武将、長篠合戦で無謀な突撃を行って 武田家に壊滅的打撃を与えた、信玄以来の家来ではない彼の取り巻きたちを跋扈させた、苛政をしき領民…

ジョン・ボードマン「ノスタルジアの考古学」国書刊行会

アレクサンドロス大王は東征を開始して間もない時期、トロイアを訪問し、神殿に奉納されたアキレウスの武具を譲り受けたといわれています。そして、後に マッロイ人との戦闘中に負傷し、危機に陥ったアレクサンドロスを守るためにペウケスタスがアキレウスの…

3月の読書

3月になりました。もう今年も六分の一が終わってしまったんですね、早いな…。 さて、そんな3月はこのような本を読んでいます。 遅塚忠躬「フランス革命を生んだ「テロリスト」」NHK出版:読了 フランソワ・シャムー「ヘレニズム世界」論創者:読了 笹本正…

久生十蘭の短篇集(岩波文庫、河出文庫、講談社文芸文庫)

今回は1冊ではなく、一人の作家の短篇集3冊と言う形で紹介させてもらおうと思います。そもそも、この作家のことを知ってから本を読んでみて、非常に面白いので2冊購入、1冊は図書館という形で読みすすめています。 読んだものは次の3つ。 「久生十蘭短篇選」…

2月の読書

2月はこんな感じ。 根津由喜夫「図説ビザンツ帝国」河出書房新社:読了 マーチン・J・ドアティ「図説古代の武器・防具・戦術百科」原書房:読了 中野京子「残酷な王と悲しみの王妃」集英社:読了 竹田いさみ「世界史をつくった海賊」筑摩書房(ちくま新書)…