まずはこの辺は読んでみよう

しがない読書感想ブログです。teacupが終了したため移転することと相成りました。

岩明均「ヒストリエ」第7巻、講談社

アレクサンドロス大王の書記官をつとめたエウメネスを主人公とした岩明均ヒストリエ」、昨年は文化庁メディア芸術祭の漫画部門で大賞を受賞している作品です。単行本では、6巻がでてから1年半、の7巻がでました。

今回は、大体このような内容が含まれています。

・“ヘファイスティオン”誕生にまつわる謎が明らかに。
・玩具職人?エウメネス。まあ、将棋考えちゃいましたからねえ(限定版では実際にこれがおまけでついてきます)。
・蛇に飲まれたあの男の素性は一体?そして、オリュンピアスのつぶやきはフィリッポス暗殺への伏線なのか?
・ペウケスタスのこの漫画での立ち位置は何となく“史実の”ヘファイスティオンに近い物になるのでしょうか。
・3年ぶりのカルディア訪問。その時とは完全に立場が逆転してしまっています。
・さあ、そしてビュザンティオン包囲戦の始まりです。マケドニアの攻城機械の威力をいきなり見せつけていますが、はたしてどうなる?

マケドニアでの生活にもなじみ、仕官してから3年後に話が進んでいきます。史実とフィクションということでいうと、今回限定版のおまけとなったマケドニア 式将棋は恐らくフィクションでしょう。壺絵に、「将棋」を楽しむアキレウスとアイアースを描いた物がありますので、その辺りから想像した物のようです。今 回、私は通常版を購入しましたが、限定版を買って、このゲームを楽しんでみても良かったかなと言う気はします。王族ですらもゲームのコマの一つでしかない ゲームを考案する辺りが、この漫画におけるエウメネスらしいと言えばそのような感じですね。

物語の方は、ヘファイスティオン誕生にまつわる謎が明らかになります。オリュンピアスガナンとも恐ろしいことを考えているというか、これが後のフィリッポス2世暗殺にもつながるのでしょうか。そして、そのオリュンピアス以上に怖さを感じさせたのが、アンティパトロスです。

マケドニア式将棋をするエウメネスフィリッポス2世を見守る場面で、パルメニオンがゲームに結構引き込まれているのに対し、アンティパトロスに対しては そのような描写はいれず、その後別の場面で真意は一体何なのか非常に気になる台詞を吐いています。この人は一体何を考えているのだろうかと気になります し、怖さを感じさせます。

そして、終盤ではビュザンティオン包囲戦がいよいよはじまりますが、果たしてどうなるのか。カレスについては、自分のサイトで記事を書いていて、単行本発 売時点ではまた書き上げていませんが、この人なかなか人間くさいというか、これが「英雄」なのかと突っ込みたくなる人ではあります。(追記(2013年8 月8日):記事書き終わりました。“英雄”カレスです)