まずはこの辺は読んでみよう

しがない読書感想ブログです。teacupが終了したため移転することと相成りました。

2009-01-01から1年間の記事一覧

今年のベスト本

サイトの方でちょこっと書いてみましたが、こちらでは補足っぽいことを。 (なお、ベストはこういう感じです) ・イスマイル・カダレ「死者の 軍隊の将軍」と他の作品(これが面白かっ たので、他のカダレ作品にも手を出すことに。他の作品もいいですね。今…

イスマイル・カダレ「夢宮殿」東京創元社

ある帝国(おそらく19世紀前半頃のオスマン帝国だろうと思われます。それを窺わせる描写があるので)に、夢を収集し、選別し、それを解釈する「タビル・ サライ」という役所が存在します。主人公のマルク・アレムはそこで勤めることになり、はじめは夢の選別…

石川博樹「ソロモン朝エチオピア王国の興亡」山川出版社

高校世界史において、エチオピア王国の歴史というと、近代のアフリカ史において、独立を保った数少ない国家として取り上げられる時と、第2次大戦後の現代 の話(最後の皇帝ハイレ・セラシエが革命で打倒されたことや、その後の長きにわたる内戦状態)が取り…

12月の読書

いよいよ今年も終わりですね。今月はこんな感じで本を読んでいます。 山脇直司「社会思想史を学ぶ」筑摩書房(ちくま新書):読了 井上浩一「ビザンツ皇妃列伝」白水社:読了 アンリ・トロワイヤ「イヴァン雷帝」中央公論新社(中公文庫):読了 庄子大亮「…

イスマイル・カダレ「砕かれた四月」白水社

治外法権状態と言っても良いアルバニアの高地地帯、そこは現代になってもなお昔からの「掟」が支配する世界でした。人々はその内容がよいか悪いかと言うこ とは関係なく、とにかく「掟」には従って生きています。何となく、「ドルンチナ~」にでてくる「誓い…

イスマイル・カダレ「誰がドルンチナを連れ戻したか」白水社

ある日の夜、アルバニアの旧家ヴラナイ家へ、娘のドルンチナが戻ってきた。誰に連れてこられたのかと聞かれた彼女は兄コンスタンチンの名を答えたが、彼は3年前に死んでいた…。では一体誰が彼女を連れてきたのか?その謎に警備隊長ストレスが挑む。 死者がよ…

11月の読書

今年もあと残すところ2ヶ月、色々読んでみようと思います。 イスマイル・カダレ「砕かれた四月」白水社:読了 青柳正規「人類文明の黎明と暮れ方」講談社(興亡の世界史00):読了 トルストイ「イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ」光文社(古典新…

イスマイル・カダレ「死者の軍隊の将軍」松籟社

第2次大戦終結から20年ほど後のこと、アルバニアに某国から将軍が派遣されてきます。彼の任務は第2次大戦中に戦死した自国兵の遺骨を回収して持ち帰る ことで、その任務を果たすために彼は事前にデータを集め、自国の兵士の遺骨が埋まっている場所をチェック…

10月の読書

このブログを開設してからもうすぐ2周年くらいになりますが、10月はこんな感じで本を読んでいます。読み終わらなくて途中で返却ことになった本もあったりしますが、その辺は気にしないってことで。 田中克彦「ノモンハン戦争」岩波書店(岩波新書):読了 リ…

光成準治「関ヶ原前夜 西軍大名達の戦い」NHK出版(NHKブックス)

小説や大河ドラマ、映画で有名な関ヶ原の合戦ですが、それに至る経緯については、今もなお盛んに研究が行われています。そして、最近では、単純な二項対立(武功派対吏僚派、徳川対反徳川、北の政所派対淀殿派…)ではない方向に向かっているようです。 本書…

「興亡の世界史」最新刊は今日刊行予定です

やっと、「興亡の世界史」最新刊がでるようです。 一体どれだけ待ったことか…。 待たされ続けてやっと出る最新刊はカルタゴを扱っています。 この夏に仙台市博物館でカルタゴ展をやっていましたが、その前に読んでおいたらよく分かったんだろうなという気が…

宮野裕「「ノヴゴロドの異端者」事件の研究 ロシア統一国家の形成と「正統と異端」の相克」

ロシアがモスクワ大公国を中心として統合が進んだ15世紀後半から16世紀初頭、「ノヴゴロドの異端者」と呼ばれる集団が出現し、彼らによりモスクワ大公 国の政治が混乱を来したこともあったと言われています。1470年頃に出現し、1504年に主だった人々が処刑さ…

9月の読書

9月に入りました。あっというまですね。 で、こんな感じの物を読んでいます。それにしても、いつになったら「興亡の世界史」最新刊は出るのやら。何度も延長してると、そのうち忘れちゃいますよ…。 スコット・フィッツジェラルド「グレート・ギャッツビー」…

マルコス・アギニス「マラーノの武勲」作品社

1639年、南米のリマで行われたアウトダフェ(異端審問判決式)において、フランシスコ・マルドナド・ダ・シルバという人物が火あぶりの刑に処されまし た。本書はフランシスコ・マルドナド・ダ・シルバの生涯を題材とした小説です。マラーノ(「ブタ」を意味…

8月の読書

8月はこんな感じの本を読んでいます。7月の読書で線を引いて消している本は、返却期限が迫ったためやむを得ず途中で返却した本です。それ以外にも色々借りているので、これから読まないとなあ。 惣領冬美「チェーザレ」(第7巻)講談社:読了 マーチン・ファ…

7月の読書状況そのほか

6月と比べると冊数はかなり増えています。読んでいるジャンルもやはり歴史系の本が多いものの、ちょっと小説も混ぜたりしながら読書は進んでいます。ただ、他の自治体から借りている本がどうも返却期限までに読み終わらない感じで、それをどうするかが問題で…

松森奈津子「野蛮から秩序へ インディアス問題とサラマンカ学派」名古屋大学出版会

大航海時代のスペインが新大陸への支配を進めようとする過程で、スペインによるインディアス占有の是非が問題となり、「インディアス問題」と呼ばれる問題 が発生しました。また、この時代はヨーロッパにおいて主権国家体制が確立していく時期であり、立憲主…

7月の読書

6月は専門書に手を出したらなかなか終わらず、持ち越した本が2冊あります。先ずはそれを片付けてからです。 湯川武「イスラーム社会の知の伝達」山川出版社(世界史リブレット):読了 カール・ヨルダン「ザクセン大公ハインリヒ獅子公」ミネルヴァ書房:読書…

井上浩一「ビザンツ 文明の継承と変容」京都大学学術出版会

4世紀末にローマ帝国が東西に分かれた後、コンスタンティノープル(現イスタンブル)を都として1000年間以上続いたビザンツ帝国という国があります。 本書では、ギリシア・ローマの都市文明からどのように変容したのか、そしてビザンツを特徴付ける要素とし…

6月の読書

色々と忙しいですが、少しずつ読んでいます。 濱本真実「「聖なるロシア」のイスラーム」東京大学出版会:7月へ持ち越し 松森奈津子「野蛮から秩序へ インディアス問題とサラマンカ学派」名古屋大学出版会:7月へ持ち越し。 井上浩一「ビザンツ 文明の継承と…

池上俊一訳「中世奇譚集成 東方の驚異」講談社(学術文庫)

人が自分のいる所と空間的・時間的に違う世界をどのように認識し、表現してきたのかと言うことに関しては様々な本が書かれています。ある本では地図に書かれた世界観から迫り、また別の本では図像史料や書き物から迫っていきます。 そのような世界観について…

ジェフリ・オブ・モンマス「ブリタニア列王史」南雲堂フェニックス

中世騎士道物語の一つであり、日本ではおそらくもっとも有名であろう「アーサー王伝説」については、マロリーの「アーサー王の死」やディズニー映画「王様 の剣」、大作史劇が瞬間的にブーム到来したときにできた「キング・アーサー」など、さまざまな形で受…

5月の読書

結局4月は「特にお薦めしたいっ」と思う本はなく(面白い本はありましたが、今更これを薦めてもなあ…ってかんじです)、お薦めはなしにしてしまいました。 はたして5月はどうなるんでしょう? それはさておき、5月の読書は以下の感じ。 石澤良昭「東南アジア…

4月の読書

3月のお薦め本をアップする前にこちらを書くことになってしまいました。 時間がなかなか無くて…。 とりあえず、こんな所を読んでいます。 ジョヴァンニ・ヴェルガ「カヴァレリア・ルスティカーナ」岩波書店(岩波文庫):読書中 青柳正規ほか「人類はどこへ…

山中由里子「アレクサンドロス変相」名古屋大学出版会

アレクサンドロス大王というと、西洋古代史および西洋史、軍事史で主に扱われる人物ですが、実際の所彼について語られた史料はほとんどが後世のものであり、その「実像」に迫る事はきわめて難しい人物です。その一方で様々な形で彼にかんする伝承が伝わり、…

3月のお薦めは…

とりあえずしばらく出張などで忙しくなるので、書きたいのですが書けない状態です。 なので、4月に入ってから掲載することになりますが、一応お薦めの本はありますよ。いつぞやのスランプの頃とは違うので…。

3月の読書

ジャスティン・ポラード&ハワード・リード「アレクサンドリアの興亡」主婦の友社:読了 マリー・フィリップス「お行儀の悪い神々」早川書房:読了 カルロ・ギンズブルグ「チーズとうじ虫」みずす書房:4月に持ち越し フランク・ゴンザレス・クルッシ「医学…

岩明均「ヒストリエ」第5巻、講談社

月刊「アフタヌーン」にて連載中の岩明均「ヒストリエ」の最新刊が今日発売されたため、早速買ってきて読んでいます。 第5巻の内容ですが、 ・片眼の男の正体が明らかに! ・エウメネスの新生活。 ・「文化がちが~う」ホームステイ。 ・「王子」登場?! と…

コンスタンチン・サルキソフ(鈴木 康雄訳)「もうひとつの日露戦争 」朝日新聞出版

*投稿しようとしたところ、タイトルが長すぎると言うことで短くしました。正式タイトルは「もうひとつの日露戦争 新発見・バルチック艦隊提督の手紙から」です。 今年の秋からスペシャルドラマとして「坂の上の雲」がNHKで放映されます。日露戦争で活躍…

2月の読書

2月はこんな感じで本を読んでいます。まだ先月から読み終わっていないPhilip II of Macedoniaははたして今月読み終わるんでしょうか。というより、前に読んでからだいぶ間が開いてしまったからなあ。 ちなみに、「ナポレオン帝国」は何か読む気が失せたので…