2008-01-01から1年間の記事一覧
絶対王政というと、かつては貴族とブルジョワジーの調停者として国王が絶対的な権力を握る体制と説明されていましたが、最近では「社団国家」という言葉で説明されることが多くなってきたようです。国民一人一人を把握することは出来ず、貴族や都市、ギルド…
12月はこんな本を読んでいます。 先月から持ち越した課題も残っています。 小松久男「イブラヒム、日本への旅」刀水書房:1月に持ち越し 富永智津子「スワヒリ都市の盛衰」山川出版社:1月に持ち越し ジョン・ケリー「黒死病」中央公論新社:1月に持ち越し …
現代の日本では贈収賄が厳しく罰せられることになっています(過去、ロッキード事件やリクルート事件などの大事件があります)。その一方で、日本社会ではお中元やお歳暮などの贈り物を送ることも、最近は昔ほどではないようですがまた当たり前とみなされて…
11月はこんな感じ。古本祭りもあるので、新刊以外のものもふえそう。 今までは読み終わった本を載せていましたが、これからは読了・途中・読むのを断念と書き加え、今月読んでいる本を載せることにします。 坪井善明「ヴェトナム新時代」岩波書店(岩波新書…
『アラブが見た十字軍」(ちくま学芸文庫)でアラブ側の視点から十字軍の歴史を分かりやすく描いたアミン・マアルーフが、中東を舞台に書いた歴史小説を何冊か書いているようです。この「サマルカンド年代記」もそのような小説の一つですが、邦語訳されてい…
ジェフリー・フォードの幻想小説「白い果実」「記憶の書」「緑のヴェール」3つまとめてアバウトに紹介すると、「理想形態都市」とよばれる町の観相官クレイを主人公とする幻想文学、ということになります。しかし彼が観相官をしているのは「白い果実」盗難事…
10月の読書でとりあげた「新宿最後の小さなお店ベルク」ですが、今回は通常の書籍紹介とかなり違うテイストになっています。本の内容紹介よりも自分の思いを一寸ぶちまけてみたというか何というか…。 この本を読まれた方、機械があったら是非「ベルク」へ行…
新宿駅東口改札を出て徒歩十数秒、そこに「ベルク」というお店があります。どのようにカテゴライズしたらよいのか、一寸考えてしまうのは、私はもっぱらここではビールを飲み(時々水出しアイスコーヒーをのんだりしていますが)、パンを食べ、エネルギーを…
10月に読んだ本は以下の通り。とはいっても2日の時点で全然よんでいないのですが…。 とりあえず、いまのところベルク本の感想は近いうちにアップしようかと思っています。感想どうこうより、「まず読め、そしてベルクにいけ」と言いたいですが。 林佳世子「…
トマージ・ディ・ランペドゥーサの「山猫」とロナルド・トビの「鎖国という外交」はなかなか面白いですね。とはいえまだ9月は半分以上あるので、もっと面白い本が出てきたらそれに変えるかもしれませんが、この2冊は紹介してみようかなと思っています。 「山…
江戸時代は決して「鎖国」ではないということは最近の研究ではほぼ常識になってきています。長崎、松前、対馬、薩摩という4つの玄関口を通じて外から入ってくる物や人、情報を江戸幕府がおさえるためにとった体制が、19世紀に「鎖国」という言葉で表されるよ…
イタリア統一運動(リソルジメント)の波にさらされるシチリア島を舞台に、衰退していくシチリアの大貴族サリーナ公爵家のドン・ファブリーツィオの目を通して描かれる古き貴族社会の衰退と新興勢力の台頭、古き社会が新しい物に取って代わられる有様の物語…
9月はこんな感じで本を読んでいます。 オウィディウス「恋愛指南」岩波書店(岩波文庫) 西田利貞「新・動物の「食」に学ぶ」京都大学学術出版会(学術選書) ポール・プティ&アンドレ・ラロンド「ヘレニズム文明」白水社(文庫クセジュ) スティーブン・ラ…
1930年代のモスクワに突如現れた悪魔ヴォラントとその一味(コロヴィエフ、アザゼッロ、ヘルラ、ベゲモート)は様々な騒動を巻き起こしていきます。雑誌の編集長が電車事故で首をはねられて死んだり、彼らを追った詩人が狂乱状態に陥り入院したり、ヴァリエ…
8月は冊数としては比較的色々読めたような気がします。それというのも、「カンタベリー物語」が3冊あったりしたからですが、今月読んで面白かった物はブルガーコフ「巨匠とマルガリータ」ですね。ヴォラントの「原稿は燃えない」とか巨匠の「おまえは自由だ…
8月に読んだ本は以下の通り。脈絡もなく読み散らかしております。 根津由喜夫「ビザンツの国家と社会」山川出版社 森谷公俊「アレクサンドロスの征服と神話」講談社 *再読 ブルガーコフ「巨匠とマルガリータ」河出書房新社 エリオット「Cats(キャッツ) T.…
「アナバシス」の著者クセノポンがアケメネス朝ペルシア帝国の建国者キュロスの生涯をたどりつつ、教育論やリーダー論をまとめた一冊です。 なぜキュロスが広大な領地と多用な民族を支配することが出来るようになったのかという疑問から始まった物語は、キュ…
7月の読書はここに掲載します。 6月は結局一冊もお薦め本はなかったのですが、7月はどうなることか。 まあ、何かあったら書きますが、果たしてどうだろう? マッツ・G・ラーション「ヴァリャーギ ビザンツの北欧人親衛隊」国際語学社 神田千里「島原の乱」…
結局「クアトロ・ラガッツィ」と「ロゼッタストーン解読」、「ネイションという神話」の3冊だけしか読んでいません。ほかに「中世の覚醒」「ヌードと刺青の美術史」「都市工学の世界史」といった本が中途半端な状態で残っていたりするのですが、正直なとこ…
5月の辺りから余り読書ペースが上がらず、6月になってからも全然進みません。とりあえず6月にはいって読了したのは「クアトロ・ラガッツィ」(若桑みどり、集英社文庫)だけですし。どうも読んでいても余り集中できないし、読んだ本の中身が片っ端から抜ける…
6月はこんな感じで本を読んでいます。 5月はおすすめは1冊だけでしたが、果たして今月はどうなる? パトリック・ギアリ「ネイションという神話」白水社 レスリー・アドキンズ&ロイ・アドキンス「ロゼッタストーン解読」新潮社(新潮文庫) 若桑みどり「クア…
古代ギリシアとオリエント世界というと、二つは全くの別物で特につながりはない物と見なされてて来ましたし、今でもそう思う人は多いのではないでしょうか。しかし古代ギリシア文明を見ていくと、ギリシア人たちが東地中海世界で活発な活動を展開しながらオ…
5月に読んだ本の一覧はこんな感じ。 ウィリアム・モンゴメリ・ワット「地中海世界のイスラム」筑摩書房(ちくま学芸文庫) 木村元彦「オシムの言葉」集英社(集英社文庫) 網野徹哉「インカとスペイン 帝国の交錯」講談社(興亡の世界史) 中野京子「怖い絵…
結局4月は「これはっ!」と思うような本は今のところ無いですね。確かに「鉄腕ゲッツ行状録」や「カロルス大帝伝」はそれなりに面白かったものの、是非とも進めたいかと言われるとちょっと厳しいというのが読んだときに感じたことです。 次いで、「スペード…
4月に読んだ本はこんな感じです。4日までに読み終わった本が0冊というかなりのスローペースになっていますがはたしてどうなる? プーシキン「スペードの女王 ベールキン物語」岩波書店(岩波文庫) 高橋友子「路地裏のルネサンス」中央公論新社(中公新書) …
第1部ではシェイクスピア別人説をとりあげ、フランシス・ベーコン、マーロウ、ダービー伯、オックスフォード伯といった昔から別人候補として取り上げられる人々から、最近の新しい説(ラトランド伯、外交官ヘンリー・ネヴィル)、さらにはある意味もっとも強…
紀元前4世紀のアテネの歴史については、カイロネイアの戦い以降どうなったのかはほとんど知られていないというのが現状です。前4世紀後半というとマケドニアの台頭、アレクサンドロス大王の東征と後継者戦争といったことに焦点が当てられる一方で、それまで…
3月はこんな本を読んでみました。なお、3月後半は仕事で忙しいので読書ペースが今月は大幅に落ちることがほぼ確実です。3,4冊も行けばいいかなあという感じなので、ひょっとしたらここに挙げた本がすべておすすめに載るかもしれませんし、1冊もおすすめがな…
十字軍については世界史の授業でもかなり取り上げますし、近年では「キングダム・オブ・ヘブン」の上映で関心を持たれた方もいると思われます。しかし十字軍に関する著作を見ると、翻訳物はかなり見かけますが、日本人の研究者の著作は橋口倫介氏の物をのぞ…
歴史学の大著として名高い「地中海」(藤原書店)の著者であるフェルナン・ブローデルがかつて地中海について古い時代から扱った双書の執筆を頼まれて書き上げた物の、肝心の企画がつぶれてしまい、彼自身もこの原稿を出版せぬまま放置していた著作です。 ま…