まずはこの辺は読んでみよう

しがない読書感想ブログです。teacupが終了したため移転することと相成りました。

2021-01-01から1年間の記事一覧

小関隆「イギリス1960年代 ビートルズからサッチャーへ」中央公論新社(中公新書)

1960年代のイギリス、ビートルズが世界的人気を獲得し、ロンドンがファッションの流行発信地となり「スウィンギング・ロンドン」という言葉が登場、若者文化が花開いた時代でした。また、性の解放などが進み今までの社会では認められなかったものが認められ…

ヴァレリー・ハンセン(赤根洋子訳)「西暦一〇〇〇年 グローバリゼーションの誕生」文藝春秋社

グローバル・ヒストリーと言う言葉がしきりに言われるようになった昨今、色々と世界のつながりの様子を描く本はでています。世界の各地域がつながっていくプロセスを扱うというと、多くの場合は大航海時代以降であったり、あるいはモンゴル帝国の時代であっ…

南川高志・井上文則(編)「生き方と感情の歴史学 古代ギリシア・ローマ世界の深層を求めて」山川出版社

(4月に一度読み終えましたが、その時点では忙しさもあり感想書くのはやめておこうと思っていました。しかし時間が経ち、感想を書こうかなという気持ちになってきたので、5月に改めて読み直したうえで書いています) 京都大学で長期にわたり教鞭をとってきた…

5月の読書

5月になりました。このような本を読んでいます。バーンズの「イングランド、イングランド」についていは、かなり昔に感想をここのブログで書いているので、わざわざ感想を改めて書くことはしませんが、是非読んでみて。 合田昌史「大航海時代の群像」山川出…

岸本廣大「古代ギリシアの連邦 ポリスを超えた共同体」京都大学学術出版会

古代ギリシアというとポリス、というイメージが政治単位については非常に強力です。しかし連邦のような組織も作られ、アカイア連邦、アイトリア連邦、ボイオティア連邦などギリシアの国際情勢に多大な影響を与えたものもあります。本書ではそういった連邦の…

佐良土茂樹「コーチングの哲学 スポーツと美徳」青土社

スポーツの現場において、良いコーチとは何かをめぐって、色々な考え方が出されていますし、それぞれに思うところはあるでしょう。試合で勝たせてくれるコーチが良いコーチなのか、はたまた何か技術を上達させてくれるのが良いコーチなのか、何を以て「よい…

魚豊「チ。 地球の運動について」1巻〜3巻、小学館

現代の科学では地動説というのは当たり前のこととして多くの人に認識されています。しかしそれが認められるまでには様々な紆余曲折を経ていることも知られています。かつては地球が中心であるとする天動説が正しいとされていたものが、色々と調査研究を重ね…

4月の読書

4月になりました。こんな感じで本を読んでいます。南川高志・井上文則(編)「生き方と感情の歴史学」山川出版社:読了岸本廣大「古代ギリシアの連邦 ポリスを超えた共同体」京都大学学術出版会:読了佐良土茂樹「コーチングの哲学 スポーツと美徳」青土社:…

黒田基樹「今川のおんな家長 寿桂尼」平凡社

2017年の大河ドラマ「おんな城主直虎」において、主人公の直虎以上にインパクトを与えた人物をあげるとすると、今川家を支えた寿桂尼が挙げられるでしょうか。今川家を最後まで支え続け、主人公の最大の理解者でもありかつ厳しく恐ろしい一面を見せつけると…

ビアンカ・ピッツォルノ(中山エツコ訳)「ミシンの見る夢」河出書房新社

今では服は店で買って着るものと思う人が多いですが、布地を縫って服に仕立てることを仕事とする人たちがかつていました。そうした仕事に従事する女性は、住み込みであれ、通いであれ色々な家の仕事を引き受け、それと共にそれぞれの家の人たちともいろいろ…

森山光太郎「隷王戦記1 フルースィーヤの血盟」早川書房(ハヤカワ文庫)

ある歴史的世界をモデルにしたようなファンタジー、戦記ものというのは色々と存在しています。「十二国記」、「アルスラーン戦記」など、読んだことがある方も多いでしょう。そういった有名どころ以外にも数多くの作品が出され、後々にまで読み継がれるもの…

佐藤信弥「戦争の中国古代史」講談社(講談社現代新書)

現在連載中の「キングダム」をはじめとして中国古代史を舞台とした漫画や小説は数多くあり、そこでも戦争はかなり扱われています。数多くの戦争が中国の歴史の中でどのような意味を持つのか、戦争が中国に与えた影響は何か、その辺りはいろいろな本や論文で…

アレクサンドラ・ダヴィッド=ネール/アプル・ユンテン(富樫瓔子訳)「ケサル王物語」岩波書店(岩波文庫)

ある時、チベットにて信心深い母親と現世の富貴に強い関心を抱く娘がいました。母親が突然インドへ巡礼の旅に出てしまい、仏陀の教えに従い幸せな生涯を送り、娘の方は度重なる不幸に見舞われる中、仏陀の教えに対し強い憎しみの念を抱きながら死んでいきま…

小島庸平「サラ金の歴史」中央公論新社(中公新書)

(本書は2月に読んだ本ですが、感想をまとめるのが遅くなり3月に投稿しています) かつて、宇宙人の格好をした人たちが妙な歌を歌っていたり、チワワ犬の潤んだ瞳に見つめられて困る人が出てきたり、なぜかレオタードでダンスを踊る人たちが出てくるテレビ…

清水稔「曽國藩」山川出版社(世界史リブレット人)

世界史リブレット人の最新刊は太平天国の鎮圧、洋務運動で知られる曽国藩です。本書は評価が二分するところがある彼について、彼がどのような家庭や社会で育ち、政治の世界や文化面でどのような活動を見せたのかに触れ、太平天国の乱に対し湘軍を編成して激…

3月の読書

1月、2月は正直なところ読書が全然進まなかったです。手を出した本画家なりハードだったというのもあるのですが、それ以上に忙しいと全然集中力が続かないといいますかなんといいますか。行き帰りの電車で読んでいても、内容があまり記憶に残らない状態でし…

平田陽一郎「隋唐帝国形成期における軍事と外交」汲古書院

隋唐帝国というと、律令体制のもと土地を農民に均等に与える均田制と、それに立脚した租庸調の税制、そして軍制として農民を一定の割合で選抜し兵として軍府に所属させる府兵制が実施されていたと言われています。府兵制については兵農一致の軍制として世界…

2月の読書

2月になりましが。こんな感じで本を読んでいます。1月はあまり読めず、今月も微妙ですがどうなりますか、、、。先月読んで面白かったなあと思った本で感想をかけていないものもありますし(今月書こうと思います)。 小島庸平「サラ金の歴史」中央公論新社(…

林美希「唐代前期北衙禁軍研究」汲古書院

中国の皇帝による支配を支える柱として官僚制と軍制はどちらも重要です。そのあり方も王朝により様々であることがわかっています。その中で、日本の国家のあり方に大きな影響を与えた隋、そして唐の軍制というと府兵制が取り上げられます。府兵制をめぐって…

1月の読書

明けましておめでとうございます。1月はこのような本を読んでいます。 大庭脩「木簡学入門」志学社:読了氣賀澤保規「中国の歴史6 絢爛たる世界帝国」講談社:読了林美希「唐代前期北衙禁軍研究」汲古書院:読了ジョン・ダーウィン「ティムール以後」(上)国…