まずはこの辺は読んでみよう

しがない読書感想ブログです。teacupが終了したため移転することと相成りました。

今年のベスト

まだ今年もあと数日残っていますが、今年のベスト10冊はこういう感じにしました。

小川剛生「足利義満中公新書
大内宏一「ビスマルク山川出版社
クセノポン「アナバシス」岩波文庫
オルダス・ハクスリーすばらしい新世界光文社古典新訳文庫
ローラン・ビネ「HHhH プラハ1942年」東京創元社
加藤九祚シルクロードの古代都市」岩波新書
平岡隆二「南蛮系宇宙論の原典的研究」花書房
メシャ・セリモヴィッチ「修道師と死」松籟社
チヌア・アチェベ「崩れゆく絆」光文社古典新訳文庫
森谷公俊「図説アレクサンドロス大王河出書房新社

歴史系5冊、外国文学4冊、古代ギリシアの書き物1冊という構成になりました。今年は「世界史リブレット人」の刊行が始まり、このブログでも1冊ずつ感想と内容紹介を書いています。

うちのサイトの内容からすると、世界史リブレット人の「アレクサンドロス大王」を ここに入れる方が良かったのかもしれませんが、ちょっとテーマ的にひねりをきかせた感じ(父親との関係とか、後世における大王像を柱にしている)の本で、 いわゆる伝記とは少し違う、変化球のような感じでした。「人をとおして時代をよむ」というシリーズということでは、何冊か読んできた中で現段階では人物の 伝記と歴史の流れを一番うまくからめているとおもう「ビスマルク」をこのシリーズではピックアップすることにしました。

ビスマルク」は ビスマルクの生涯をたどりつつ、彼がプロイセンの政界で指導者となることができたのはどのような状況の下だったのか、彼によるドイツ帝国建設がどのような 状況下で可能となったのか、彼が作り出した国家はどのような性格で、どのような状況を生み出していったのかといったことがわかりやすくまとめられていて良 いですね。

その他、翻訳物4冊を取り上げましたが、「HHhH」は色々なところで評判が高い一冊です。私もこれは面白かったです。あと、12月に読んだあと、12月に読んだ「崩れゆく絆」は読み始めたら止まらず、一気に読んでしまいました。伝統社会と西洋文明の価値観の違い、異文化・文明の接触の問題は21世紀になってもまだまだ解決される様子はありませんね。伝統だからの一言で何でもオッケーというわけではないですし(FGMの問題とか…)。

今回は漫画は敢えてのせいていないため、「ヒストリエ」8巻は対象外となっています。その代わりというわけではありませんが、アレクサンドロス大王関係では「図説アレクサンドロス大王」を 取り上げてみました。東方にそれこそ一つのポリスなみの規模を誇る大軍を遠征させるという行為自体がテーマとなっている一冊で、エウメネスが書記官として 帯同しながらどのような地域を遠征したのか、そしてどのようにして大軍を進めることができたのかと言うことについて知る手がかりになるとおもいます。そし て、アケメネス朝ペルシアの交通システム等々帝国の統治の仕組みは、あの漫画のエウメネスならば深く関心を抱くことになるのではないでしょうか。

来年もおもしろい本が色々と読めることを期待したいと思います。