まずはこの辺は読んでみよう

しがない読書感想ブログです。teacupが終了したため移転することと相成りました。

2015-01-01から1年間の記事一覧

岩明均「ヒストリエ」9巻、講談社

アレクサンドロス大王の書記官を務めたエウメネスの生涯を題材とした漫画「ヒストリエ」、第8巻がでたのが2013年の夏、そしてようやく第9巻が出まし た。連載も原則隔月連載、しかも単行本作業が入ると長期間休みに突入するというなか、ずいぶんと新刊が出る…

トム・リース(高里ひろ訳)「ナポレオンに背いた「黒い将軍」 忘れられた英雄アレックス・デュマ」白水社

デュマと聞くと、「三銃士」や「モンテ・クリスト伯」の作者、あるいは「椿姫」の作者を思 い浮かべる人はいると思います。しかし、彼らのご先祖様が実は軍人であり、しかもサン=ドマング(現在のハイチ)出身の黒人であるということは、佐藤賢一 の小説弟…

カズオ・イシグロ(土屋政雄訳)「忘れられた巨人」早川書房

魔法や龍といった不思議な物が存在し、ブリトン人がサクソン人に取って代わられつつある時代のイングランド、アクセルとベアトリス2人の老夫婦がブリトン人の集落で暮らしていました。そんな彼らがある日、遠くの村にいる息子に会いに旅に出ることになります…

5月の読書

5月になりました。もう今年も3分の1が終わってしまいましたね。 5月ですが、こんな感じで本を読んでいます。カズオ・イシグロ「忘れられた巨人」は面白くて、何度も読み返しています。あと、アレックス・デュマ将軍の評伝も2度ほど繰り返したかな。というわ…

ロバート・ヤング(伊藤典夫訳)「たんぽぽ娘」河出書房新社(河出文庫)

「おとといは兎を見たわ、きのうは鹿、今日はあなた」、このふしぎな文言に惹かれて手に取ってみたのは少し前のことでした。一体これはどういう事だろうと思いましたが、まずは最初から順番に読み、時間をかけつつようやく読了しました。 表題作の「たんぽぽ…

砂野幸稔「ンクルマ」山川出版社(世界史リブレット人)

アフリカ諸国の独立というと、必ず出てくるのがンクルマです。おそらく「エンクルマ」という名前で覚えている方の方が多いと思いますが、最近はンクルマと 表記されることが多くなってきています。ヨーロッパにより植民地化されていたアフリカにおいて、ンク…

大谷敏夫「魏源と林則徐」山川出版社(世界史リブレット人)

世界史リブレット人シリーズの新刊として、今回は1冊で2人の人物を取り上げています。林則徐のほうは世界史の授業でアヘン戦争のことを習うと、必ず出て くる人物です。一方の魏源については、世界史の授業レベルではなかなか登場する機会はないでしょう。し…

4月の読書

4月はこのような本を読んでいます。 砂野幸稔「ンクルマ」山川出版社(世界史リブレット人):読了 大谷敏夫「魏源と林則徐」山川出版社(世界史リブレット人):読了 アンナ・カヴァン「氷」筑摩書房(ちくま文庫):読書中 ハンス=ヨアヒム・シェートリヒ…

ストルガツキー兄弟「神様はつらい(世界SF全集24所収)」早川書房

かつて早川書房から出ていた世界SF全集のなかにソ連のSFが収められた巻があり、そこに収められていたのがストルガツキー兄弟の「神様はつらい」で、日 本で2015年3月に公開されたアレクセイ・ゲルマン「神々のたそがれ」の原作にあたる作品です。SFというと…

北田葉子「マキァヴェッリ」山川出版社(世界史リブレット人)

マキァヴェッリというと「君主論」の著者として非常に有名です。マキャヴェリズムという言葉に込められた意味から、目的のためには手段を選ばないというダーティなイメージを彼に対し持つ人もいるようです。 本書ではマキァヴェッリについて、政治とモラルの…

3月の読書

3月はこう言う本を読んでいます。 ストルガツキー兄弟「神様はつらい(世界SF全集24所収)」早川書房:読了 佐藤彰一「禁欲のヨーロッパ」中央公論新社(中公新書):読了 杉山清彦「大清帝国の形成と八旗」名古屋大学出版会:読書中 ジョン・キーガン「戦略…

松田俊道「サラディン」山川出版社(世界史リブレット人)

サラディンというと、映画「キングダム・オブ・ヘブン」でも優れた指導者として描かれています。西洋世界においてもサラディンは長きにわたり称賛されてきていますし、イスラム世界では聖地イェルサレムを奪回した英雄として今もなお人気があります。 その他…

カルミネ・アバーテ(関口英子訳)「風の丘」新潮社

カラブリア地方にあるロッサルコの丘。この丘の土地を集積し、この地に根を下ろして暮らす アルクーリ家のアルベルト、アルトゥーロ、ミケランジェロ、リーノの4世代にわたる男達、そして嫁いできたソフィア、リーナ、マリーザといった女達、彼ら は第1次大…

(再読)佐藤昇「民主政アテナイの賄賂言説」山川出版社

民主政アテナイの賄賂について、賄賂について語られた言説を色々と検討しながら、当時の人々が賄賂という物をどう考えていたのか。本書は民主政アテナイの賄賂に関する言説を手がかりに、アテナイ市民の権力観やそれを生み 出した政治・社会・文化的背景を探…

2月の読書

2月はこのような本を読んでいます。 松田俊道「サラディン」山川出版社(世界史リブレット人):読了 ウー・ミン「アルタイ」東京創元社:読了 河原温・堀越宏一「図説中世ヨーロッパの暮らし」河出書房新社:読了 柿沼陽平「中国古代の貨幣」吉川弘文館:読…

ミハル・アイヴァス(阿部賢一訳)「黄金時代」河出書房新社

語り手が過去に訪れ、数年滞在していたある島について、島の風俗や社会の様子、歴史、言語などについて記録を残していきます。しかしその記録が延々と続け られるというわけではなく、途中から話の展開が大きく変わっていきます。それは、島においてある一冊…

1月の読書

1月になりました。今年もよろしくお願いします。 1月は現時点でこのような本を読んでいます。 1月になりました。今年もよろしくお願いします。 1月は現時点でこのような本を読んでいます。 アンリ・トロワイヤ「仮面の商人」小学館(小学館文庫):読了 飯田…