まずはこの辺は読んでみよう

しがない読書感想ブログです。teacupが終了したため移転することと相成りました。

今年のベスト

おそらく、今年のベストはこの10冊で確定して良いと思います。まだ今年は1週間ありますが、これ以外を選ぶのは正直なところ厳しいと思いますので。なお、シリーズものはまとめて1冊のカウントにしようと思います。なお、順番は適当です

(1)エドワード・ケアリー(古屋美登里訳)「堆塵館」東京創元社
(2)エドワード・ケアリー(古屋美登里訳)「穢れの町」東京創元社
(3)エドワード・ケアリー(古屋美登里訳)「肺都」東京創元社
  ※以上、アイアマンガー三部作として1冊分でカウント
(4)森谷公俊「アレクサンドロス大王 東征路の謎を解く」河出書房新社
(5)プルタルコス(森谷公俊訳註)「新訳アレクサンドロス大王伝」河出書房新社
(6)フランソワ・アルトーグ(葛西康徳松本英実訳)「オデュッセウスの記憶」東海大学出版部
(7)岩明均ヒストリエ10」講談社
(8)芳賀京子・芳賀満「西洋美術の歴史1 古代」中央公論新社
(9)小野容照「帝国日本と朝鮮野球 憧憬とナショナリズムの隘路」中央公論新社(中公叢書)
(10)岩崎周一「ハプスブルク帝国講談社 *崎は本当は「たつさき」のほう
(11)柴裕之「徳川家康平凡社
(12)小田中直樹(編)、帆刈浩之(編)「世界史/いま、ここから」山川出版社

(1)〜(3)は三部作なので、一冊分というカウントにしておきます。小説に関してはこの作品が特に面白く、是非お勧めしたいところです。

あとは歴史物がずらりと並んでしまいましたが、やはり(4)、(5)は個人的にお勧めしたい。サイトの内容からして、この2冊は外せない。同様に(7)も外せないですね。11巻がいつでるのか、随分と待たされそうな予感しかしませんが。

(6)はギリシア史の書籍ですが、ギリシアと非ギリシアを分けるものは一体何なのか、そして征服者であるローマをギリシアの人々はどのように理解しようとしたのかといったことを扱う。読み応えあり。

(8)は古代ギリシア、ローマの美術について、美術品が残された当時どのような意味を持っていたのかという視点をかなり強調していた一冊。ヘレニズム時代の美術についても興味深い内容多数。

また、題材として(9)は非常に興味深いものがあります。野球と植民地支配を絡めるというのはなかなか読んでいて面白いものがありました。

最近、新書の歴史物が結構充実してきていますが、外国史の新書では(10)が非常に面白かったです。ハプスブルク君主国について手に取りやすい通史の本がでたのはありがたい。

平凡社から始まった中世と近世を扱ったシリーズの一冊である(11)は、天下人となる前の徳川家康の悪戦苦闘をまとめています。天下人というゴールから逆算したような本とは一味違います。

そして、ふつうの世界史の教科書とはちょっと違う味わいの(12)もお勧めしたい。自分たちが生きる世界と違う時代や地域のことをしる面白さをいかに伝えたるのか、中等教育段階でどうやったらそれができるかを考えないと、どんな歴史教育の方法を考えても結局失敗しそうな気がします。

今年は特に下半期に読書ペースが大幅に落ちたため、なかなか読めませんでしたが、来年はどうなることやら。