まずはこの辺は読んでみよう

しがない読書感想ブログです。teacupが終了したため移転することと相成りました。

今年のベスト10冊

少し早いのですが今年のベスト10冊はこれらの本にしました。
今読んでいるミハル・アイヴァス「黄金時代」が面白いのですが、どうも年内に読み終わりそうにないので、ここには入れられそうにないですので、これで決定ですね。再読本は入れない方針なので、森谷公俊先生の著作は選考対象から外しました。

ペルッツボリバル侯爵」
ゴーシュ「ガラスの宮殿」
マッカーシー「もう一度」
絲山秋子「離陸」
ビーン「マリアが語り遺したこと」
平山優「長篠合戦と武田勝頼」「検証長篠合戦」
スナイダー「赤い大公」
周藤芳幸「ナイル世界のヘレニズム」
プリンチペ「科学革命」
浦沢直樹長崎尚志MASTERキートン Reマスター」


小説5冊、歴史系の本5冊、そして漫画1冊となりました。ベスト10冊なのに何故11冊なのかは、 まあ後に回すとして、今年出た本でなく、今年読んだ本からの選択になっていますので、アミタヴ・ゴーシュ「ガラスの宮殿」をいれています。この本、クレス トブックスではもうすぐ品切れになるというポップが本屋でついていましたが、文庫化とかしないんですかね。面白いのにもったいないな。それ以外は今年出た 本からの選択となりました。

ペルッツボリバル侯爵」は分かっているはずなのに何故か進んではいけない方向へとどんどんはまっていく展開が面白いですし、マッカーシー「もう一度」はよくある自分捜し物かとおもいきや予想だにしない方向へと暴走していきます。

「真実」を語りうるのかということでコルム・トビーン「マリアが語り遺したこと」はマリアの語るイエスと弟子が書き残そうとするイエス像の齟齬と両者の緊 張関係が感じられる一冊です。「真実」はわからないし、人間には分からないことが色々あるということを強く感じさせられる絲山秋子「離陸」は読み終えたと きにタイトルにこめられた一つの意味が伝わってきます。

ティモシー・スナイダー「赤い大公」はウクライナ独立国家樹立の野望を抱く流転の貴公子の波乱に富んだ生涯を読みやすく描き出し、周藤芳幸「ナイル世界のヘレニズム」は考古学の成果をもとに近年語られてきたヘレニズム時代像と異なる一面を示していく本でした。

プリンチペ「科学革命」はヨーロッパだけでなく結果として世界の歴史も大きく変えることになった「科学革命」について、過去との断絶だけでなく連続性にも目を向けた一冊です。この時代について興味がある人は是非読んでみて欲しいです。

浦沢直樹長崎尚志MASTERキートン Reマスター」はかつての人気漫画の正当な続編です。背景となる出来事はかつて以上に重苦しい雰囲気でありますが、そこに盛りこまれた考古学の話題、人間ドラマが面白く、なんとなく希望を抱かせる終わり方です。

そして今年読んだ歴史物としては、やはり平山優「長篠合戦と武田勝頼」「検証長篠合戦」の2冊は外せません。2015年1月にはこれに対する批判本も出る そうですが、長篠合戦をきっかけに戦国の合戦についての議論や戦国大名についての議論が色々と進むといいなあと思います。そしてこの2冊は1セットで評価 すべきと思います(そもそも企画段階では一つにするつもりだったものの、膨大な量になってきたので分割したということです)。

ベスト10冊なのに何で11冊なのか、何故だと思うかもしれませんが、こう言う理由です。