まずはこの辺は読んでみよう

しがない読書感想ブログです。teacupが終了したため移転することと相成りました。

今年のベスト

さて、そろそろ今年のベストを選ぶときが来たようです。
上半期と下半期の結果を基に色々考えてみたのですが、なかなか絞るのが難しく、苦労しました。しかし、なんとか約10冊の範囲内に収めてみようとした結果こういうことになりました。

エリザベス・ドネリー・カーニー「アルシノエ二世」
小池登・佐藤昇・木原志乃(編著)「『英雄伝』の挑戦」
川島重成・古澤ゆう子・小林薫(編)「ホメロスイリアス』への招待」
丹羽宣子「〈僧侶らしさ〉と〈女性らしさ〉の宗教社会学
巽由樹子「ツァーリと大衆 」
ユーディト・W・タシュラー「国語教師」
アンナ・コムニニ「アレクシアス」
リウトプランド「コンスタンティノープル使節記」
パオロ・コニェッティ(他)「どこか、安心できる場所で」
伊藤雅之「第一次マケドニア戦争とローマ・ヘレニズム諸国の外交」
マイケル・ワート「明治維新の敗者たち」
ティーブ・ブルサッテ「恐竜の世界史」

気がついたら12冊ありますが、ベスト10でなくてはならないとは考えていなかったので、これが今年のベストになるかなと。読んでいて面白かった本から、あえてさらに絞り込んでみたと言ったところでしょうか。

史料の翻訳ということではビザンツから2冊を選びました。名前は聞くけれどどういう本なのか気になっていたので、邦訳で読めるというのは実にありがたいことです。

専門書からは第1次マケドニア戦争の本はこれをベースに政治外交史の一般向け書籍が作れそうですし、ロシアの出版事情の本もなかなかおもしろく読みやすかったです。そして普段あまり手に取らないジャンルの本も読んでみると面白いなと女性僧侶の本を読んで改めて思いました。

一方、西洋古典学ってこんな感じということで手に取って欲しいと思う本が2冊、プルタルコスホメロスイリアス」に関してでていましたので、こういうのはどんどん紹介したいです。これらを入り口にして、邦訳を読んでみると色々面白いだろうなあと。

歴史を書くということでは、小栗上野介が明治から現代に至るまでの間にどのように語られてきたのかと言う切り口で語った本が面白いと思いました。アルシノエ2世の本は、これがもっと昔に出ていたらサイト作成に間違いなく使っていただろうと思う内容です。

一寸毛色が違う本としては恐竜の世界史という本を入れてみました。恐竜がいかにして地上の覇者となったのかという歴史と、その歴史を構築する上で絶対必要な恐竜の化石発掘と調査に携わり日々新たな発見を積み上げている人々の物語が面白いです。

小説からは、ミステリーっぽい展開で最後はなんとなくしみじみとする終わりを迎えた国語教師と、今のイタリアで作品を書いている人々の短編集を取り上げました。「現代の」イタリアの姿が随所に現れており、これはなかなか興味深い本だと思います。いつまでもタブッキ、カルヴィーノブッツァーティだけじゃない。

以上の本が今年のベスト。来年は果たしてどうなりますかね。