まずはこの辺は読んでみよう

しがない読書感想ブログです。teacupが終了したため移転することと相成りました。

平山廉「カメのきた道」NHK出版(NHKブックス)

カメというと、最近では生態系を乱す特定外来生物扱いされているカミツキガメワニガメミドリガメの話題や、数が大幅に減少してしまったガラパゴスゾウガメの話題などが取り上げられることはありますが、その祖先についてはあまり人々の興味・関心を引いていないような感じがします。

 

本書では、まず最初にカメの骨格や体の仕組み(首が引っ込む仕組みや視覚・聴覚等々)をあつかったあと、現存するウミガメで最大のオサガメの話を中心に現生カメのついてあつかい、いよいよ本書の中心である化石カメの話題に入っていきます。既に2億3千年前には現在のカメと同じような姿をしていて(むろん細かいところに違いはありますが)、それが徐々に進化していったことが述べられています。骨格から機能の違いを論じつつ、時代別(恐竜時代、ほ乳類時代等々)に進化の過程を論じていく作りになっています。

 

カメの体について、スー@-マ@オのように踏んづけると甲羅が脱げると言うことは絶対にあり得ない体のつくりになっているということはきちんと認識しておいた方が良いでしょう。ゲームと同じのりで亀を踏んづける馬鹿たれはそういないと思いますが、念のため。また、オサガメがかなり柔らかい体のつくりになっているとは知りませんでした。やはり深海に潜ったりするときにはその方が都合がよいみたいですね。

 

亀の甲羅が何故できたのか、亀の進化がどのような物だったのかについてはまだわからないことが多いようでこれからの発見に期待してまつことにします。また、同じは虫類でありながら、白亜紀末期の大絶滅によってカメはほとんど滅びていないのは何故なのか等々、これから解明されるといいなあと思うこともあります。環境の変化に応じて様々な進化を遂げたり(甲羅が動くようになる)、餌が無くとも1月は持ちこたえられ、長生きができるようになるなどの進化を遂げてきたカメの多くを絶滅させたり、絶滅寸前に追いやったのが人類だというところは今も昔も変わらないのかと少し考えてしまいました。

 

本書は化石カメを扱っている本であり、当然そのころのカメがどのような姿をしていたのかを表現するには絵を使うしかないのですが、本書掲載の化石カメの復元図イラストがとても素晴らしいです。一見すると恐竜のようだったり、横に翼のように伸びた甲羅があったりと言った、非常に変わった格好の化石カメたちの姿が可愛らしいですね。