まずはこの辺は読んでみよう

しがない読書感想ブログです。teacupが終了したため移転することと相成りました。

今年のベスト10冊

2015年もそろそろ終わりです。今年読んだ本のなかからベスト本1011冊を選びました。選ばれたのは次の本です(シリーズ物、連続物を全部読み通した場合はそれで1冊とします)。

*一冊載せようと思って忘れていたものを入れたら、増えてしまいました。でもめんどうなので11冊にします(12月28日)


カルミネ・アバーテ(関口英子訳)「風の丘」新潮社
カズオ・イシグロ土屋政雄訳)「忘れられた巨人早川書房
岩明均ヒストリエ」9巻、講談社
プルタルコス(城江良和訳)「英雄伝4」京都大学学術出版会(西洋古典叢書
イェルク・ムート(大木毅訳)「コマンド・カルチャー」中央公論新社
ポリュビオス(城江良和訳)「歴史1~4」京都大学学術出版会(西洋古典叢書
トーマス・セドラチェク(村井章子訳)「善と悪の経済学」東洋経済新報社
レオ・ペルッツ垂野創一郎訳)「夜毎に石の橋の下で」国書刊行会
河江肖剰「ピラミッド・タウンを発掘する」新潮社
藤村シシン「古代ギリシャのリアル」実業之日本社
澤井一彰「オスマン朝の食糧危機と穀物供給」山川出版社


今年読んだ物から選ぶとこのような感じになりました。小説だと、やはり昨年前半だとカズオ・イシグロの新刊は賛否両論あるにせよ外せないですし、カルミネ・アバーテの作品も良かったです。あとは、レオ・ペルッツ北方戦争の頃のスウェーデンに関係する本や、大昔に出て復刊されたアステカのために戦うドイツ人の話、そして、神聖ローマ復活を目論む貴族の幻想譚など新刊も出ましたが、彼の作品ではやはり「夜毎に石の橋の下で」が一番面白かったかな。

古代史関係からは、ヒストリエの9巻についてはあれこれ書かなくてもいいかなと思いますので、それ以外ですこし。読みやすいギリシアものの「古代ギリシャのリアル」はギリシア神話の神々について面白いですね。そして、まとめて一気に読みきってみようとおもったポリュビオスが意外と面白かったのと、プルタルコスエウメネス伝が値段はさておき入手しやすくなったことは収穫でした。あと、ピラミッドとその周りの遺跡について扱った河江肖剰「ピラミッド・タウンを発掘する」も興味深い一冊です。読み返してみるとあまり愛のある感想じゃないような気もしますが、面白かったんですよ、これ。

古代史じゃないところから紹介した本についても少しコメントをつけておきます。専門書では、オスマン帝国穀物供給についてあつかった澤井一彰「オスマン朝の食糧危機と穀物供給」を載せておきます。また、イェルク・ムート「コマンド・カルチャー」はパッと見たところ軍事マニア向けで、なんとなく敬遠してしまう人もいるかもしれませんが、是非いろいろな人に、特に教育に関心のある人には読んでほしいところです。そして、トーマス・セドラチェク「善と悪の経済学」は経済学関係の読みものとして結構おもしろく読めました。

来年は1月に橋場弦「丘のうえの民主政」がタイトルを変えて文庫化されますし、2月には興亡の世界史1巻「アレクサンドロスの征服と神話」が文庫化されます。来年、ほかにどのような本が出るのかはわかりませんが、この辺が楽しみです。