ロシア・アヴァンギャルドの代表的作家、不条理文学の先駆者といわれるダニイル・ハルムスの短篇集です。ただし、短篇集とは書いたものの、1頁にも満たない文章も非常に多く収録されています。
内容について説明することは極めて困難です。同じ内容の繰り返しがわざと使われていたり、突然突拍子もない結末が付けられていたり、とにかく基本的にはナ ンセンス、不条理な話が多く収録されています。字面だけを追うと、何かがあった・何かが起きた、それだけなのですが、背景とか理由、それに対する人々の感 情などがほとんど書いてある形跡がなく、そこに色々と引っかかるところがあるのでしょうか。
それはさておき収録された話の不条理・ナンセンスなところをみていると、児童文学に関わりながら子どもが大嫌いだったとも言われる(それはポーズだけとも 言われていますが)ハルムスらしいというかなんというか…。昔、なんかの本で故ジョージ・スタインブレナー(ニューヨーク・ヤンキースの元オーナー)を 「ダイナマイトを持った建築家、マシンガンを持った神父」などと書いている本がありましたが、そんな感じですね。