まずはこの辺は読んでみよう

しがない読書感想ブログです。teacupが終了したため移転することと相成りました。

エドワード・ケアリー(古屋美登里訳)「穢れの町(アイアマンガー三部作2)」東京創元社

塵を扱い財をなしたアイアマンガー一族が築いた巨大な館「堆塵館」を舞台に、一族の一人クロッドと、そこにやってきたルーシーが出会い、そこから世界が動き出した第一部「堆塵館」、館の中で混乱が生じ始め、世界のあり方が変わり始めるとともにクロッドとルーシーのその後が非常に気になる終わり方をした1巻のあと、次の巻を待望する人は多かったようです。

そして、待望の2巻目がようやくでました。タイトルは「穢れの町」、物語の舞台はフィルチング地区、ジェームズ・ヘンリー・ヘイワードの話からスタートします。彼は絶対に手放してはいけないと言われている10シリング金貨彼は空腹に耐えかねパイの店でつかってしまうのですが、、、、。

その次には陶製のボタンを持った男が登場します。彼は「ボットン(ボタンのこと)」が好きで、それを集めることが趣味ですが、そのなかの「陶製のボットン」が突如として踊りだし、次第に姿を変えていきます。

ここで出てくる金貨と陶製ボタンがなんなのか、前作とのつながりでああ、あれかとわかってくるところで、クロッドとルーシーのフィルチングでの冒険がそれぞれ別々に展開されていきます。文字通り「手も足も出ない」状態の二人が、それぞれの冒険を経て再会しますが、その時の様子はつい笑ってしまいました。

クロッド、ルーシーの二人が主役ですが、様々なアイアマンガー一族、アイアマンガーを敵視する「仕立て屋」、そしてルーシーと行動をともにするビナディットなどなど、今回も個性的な脇役たちが次々登場します。また、ケアリー自身によるインパクトと不気味さに溢れた挿絵もさらに増えているのも楽しいです。

人からものへ、ものから人へ、頻繁に姿を変え、立場が入れ替わる物語は、又しても時間が非常に気になるところで終わりました。アイアマンガー一族のなぞもさらに増え、人間の姿をした別のものを作り出していたりしますし、クロッドの能力についてもまだまだ分からないところがあります。それにしても、第1部から読んでいるとクロッドの成長ぶり、そしてルーシーの強さが印象に残ります。次の第3部で完結するとのことですが、果たしてどういう結末が待っているのか、今からすでに気になります。早く読みたいものです。