まずはこの辺は読んでみよう

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木村靖二(編)「1919年 現代への模索」山川出版社(歴史の転換期)

山川出版社の「歴史の転換期」シリーズも残すところあとわずかとなってきました。今回出たのは1919年、現代という未だ人によって評価や判断の基準が定まらない時期をあつかいます。

「現代とは何か」といわれたときに、これだという明確な指標や定義という者はまだまだ出来ていないような状況です。機械的に20世紀を現代というわけにもいかないようで、なかなか難しいようですが、本書では現代を模索するこれらの国々の歴史をたどりながら、現代を理解する手がかりを求めていこうという意図のもとでロシア、アメリカ、ドイツ、そして中国という4つの国を扱っています。

革命により、帝政が倒れ、さらに社会主義体制の樹立へと向かう一方、内戦が発生したロシア、戦勝国として戦後の国際社会にもさまざまな形で関わり大量消費、大衆社会の出現や社会の保守化(移民制限など)が見られたアメリカ、ヴァイマル共和国のもと民主主義国家の構築に取り組みながら最終的にナチの独裁に至ったドイツ、そして伝統的価値観と新しい民主主義的価値観がみられるなか国民党の指導者達も様々な国家のあり方を模索していた中国、この4カ国の歴史を追いながら、現代の歴史的展開を見ていくということになるでしょうか。

内容的には10年代後半から20年代、30年代あたりの歴史的な事柄がまとめられており、現代史について色々と読んで勉強になるないようだと思います。この4カ国を柱としつつ、他の国々や地域についても言及されており、第一次世界大戦と、それが戦後世界にどのような影響を与えたのか、そして戦後世界で各国は何を目指し、それがどこに向かっていくのか、大まかな流れをつかむのに良いかなと思う一冊でした。